ダイナミックポイントツーポイント技術

背景

メモリバス速度が向上し続けるにつれて、信号の完全性を良好に保つことが次第に困難になってきました。 パーソナルコンピュータやワークステーションの従来のメモリバスは、マルチドロップデータトポロジをサポートしています。このトポロジにより、データ信号ごとに複数のデバイスをサポートすることができます。 このトポロジは、複数のモジュールをバスにプラグインできるようにすることによって、アップグレード機能をサポートしているため、システムメーカやエンドユーザにとってメリットがあります。 しかし、マルチドロップトポロジによって信号の完全性が低下し、メモリバスの動作速度が低下します。 マルチドロップトポロジでは、メモリバスの速度を決定する要因の1つがワーストケースの負荷特性で、このケースでは全てのコネクタがメモリモジュールによって占められています。 ポイントツーポイントトポロジ(信号線の終端ごとに1デバイスをサポート)では、信号の完全性に関するプロパティは優れていて、バス速度も高速ですが、複数のモジュールがサポートされていないため、アップグレードすることはできません。 メモリモジュールを追加することによってメモリシステムを拡張できる機能は、今日のコンピュータシステムでは非常に重要な機能であるため、従来のメインメモリシステムはポイントツーポイントトポロジではなく、マルチドロップトポロジをサポートしています。 2000年代初頭、Rambusはポイントツーポイント信号のメリットと、メモリ容量のアップグレード機能を組み合わせる方法を検討し始めました。

ダイナミックポイントツーポイント技術とは

Dynamic Point-to-Point (DPP)技術は、ポイントツーポイントトポロジとマルチドロップトポロジの両方の利点を組み合わせるため、ポイントツーポイント信号と、モジュールアップグレードによるメモリ容量の追加という柔軟性を使って、メモリシステムを構築することができます。 DPP技術の主要な利点は、容量拡張を提供することによって、メモリシステムの帯域幅全てにおいて、ポイントツーポイントをアップグレードできるということです。 DPP技術は、XDR DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAMなど、さまざまなタイプのメモリ技術に適用することができます。 XDR DRAMメモリシステムでのDPP技術の使用方法を図1と図2に示します。 図1に示すように、基本システム構成のメモリモジュールは1つだけですが、このモジュールにより、データパス全域に、メモリの全帯域幅が提供されます。 継続性モジュールは2番目のメモリスロットを占有し、データパスの半分に電気的継続性を提供して、ポイントツーポイント接続を維持します。

図1. ダイナミックポイントツーポイントの基本システム構成

継続性モジュールを取り外し、拡張モジュールを追加した場合(図2参照)、両方のモジュールからメモリ帯域幅を提供するように、データパスが再構成されます。 この例では、各モジュールはポイントツーポイントトポロジ内のデータパスの半分に、メモリシステム帯域幅の半分を提供します。 DPP技術を使用すると、1つの32ビットモジュールは、2番目のモジュールが追加された場合、16ビットモジュールになるように「動的に再配線」されます。 XDIMMモジュールは、XDIMMモジュール上のメモリデバイス幅を変更することによって、これを実現します。 この場合、XDR DRAMは基本シングルモジュール構成のx4 DRAMから、アップグレードモジュール構成のx2 DRAMへ切り替わります。 x4モードの場合、各XDR DRAMは4ビットのデータ(2ビットは直接ASICへ、2ビットは継続性モジュールを介してASICへ)を提供します。 アップグレードモジュールが挿入されると、継続性モジュールを介したパスは失われ、デバイスはx2モードへ切り替わります。 x2モードでは、各XDR DRAMは、ASICへ直接2ビットデータを提供します。

図2. ダイナミックポイントツーポイントのアップグレードシステム構成

容量アップグレードの前と後で、ポイントツーポイント信号は維持されるため、メモリシステムの帯域幅も維持できます。 DPP技術の動的再配線により、メモリシステムはポイントツーポイント信号の信号の完全性という利点を維持すると同時に、メモリシステムの帯域幅全般で、メモリシステム容量の拡張を実現することができます。 DPP技術をFlexPhase技術と組み合わせて使用し、メモリシステムアーキテクチャ用の優れたフレームワークを構成することができます。

だれが利益を得るか

DPP技術は、以下のグループに利益をもたらします。

  • システム設計者: 従来のメモリシステムは、信号の完全性の低下を招き、メモリバスの速度を制限しかねないマルチドロップ技術を使用しているため、システム設計者は、メモリバスの速度を向上させるという難問に直面する可能性があります。 DPP技術によって実現される信号の完全性の向上によって、マルチドロップ信号による制限からメモリバス速度が開放されます。 DPP技術により、システム設計者は信号の完全性を犠牲にせずに、メモリ容量を増やすこともできます。
  • システムインテグレータ: DDP技術が実現する信号の完全性の向上によって、堅牢性が強化されたシステムを構築できるため、システム設計者だけでなく、システムインテグレータにとってもメリットがあります。
  • 消費者: DPP技術が実現する信号の完全性の向上により、信号の完全性を損なわずにシステムをアップグレードできるため、消費者にとってもメリットがあります。