エンハンスド FlexPhase™ のタイミング調整
背景
XDR™2 メモリアーキテクチャを含むラムバス社の高度なメモリソリューションでは、6.4Gbps 以上で動作するシステムにおいて、ピンあたりの信号速度を増加させるために、エンハンスド FlexPhase™ テクノロジーを活用しています。 エンハンスド FlexPhase テクノロジーは、異なるトレース上の信号間の位相差を予想し、メモリデバイスに送信されるコマンドおよびアドレス信号に対して、既知のタイミングでデータビットが送信されるように管理します。エンハンスド FlexPhase は、トレース長の違いによる信号の伝搬時間の変動を管理することで、従来の DRAM アーキテクチャを強化することもできます。
ラムバス社のソリューション
エンハンスド FlexPhase は、改善されたタイミングマージンの入出力信号のタイミングを最適化し、データおよびコマンド/アドレスの信号パスにおけるトレース長の整合要件を排除することで、システムデータレートを向上させます。FlexPhase テクノロジーの革新的技術を基に、エンハンスド FlexPhase は以下の機能を提供します。
- 以前の FlexPhase テクノロジーにも増した位相直線性およびタイミングの高分解能を実現する新しい回路
- 初期化中および動作時にコマンド/アドレス信号の位相設定を最適化する革新的なタイミングキャリブレーションのアルゴリズム
- 決定性のジッター(DJ)のすべてのソースを検出するために、小振幅信号のビットエラーレート(BER)を統計的に測定
- メモリシステムを特性化している間にも BER を測定する能力
エンハンスド FlexPhase テクノロジーは、メモリシステムをサポートする回路基盤上およびメモリデバイスのパッケージ内でトレース長を整合させる必要性を除去します。このようなシステムの簡素化により、ボードやパッケージコストを軽減することが可能になり、より高い柔軟性を実現します。また、エンハンスド FlexPhase はプロセスの変化、チップ上のクロックスキュー、ドライバ/レシーバの不整合、クロックの定在波効果を動的に補償することにより、タイミングオフセットを排除し、システムタイミングを全体的に向上させます。6.4Gbps を超える信号速度においても、エンハンスド FlexPhase はこれらのシステムメリットをもたらします。エンハンスド FlexPhase の回路技術は、超高速な信号速度を実現しながらも、メモリシステムのデザインに柔軟性および簡素化を提供し、コスト削減も可能にします。
エンハンスド FlexPhase 回路は、データ、コマンド、アドレスおよびクロック信号間のタイミングを細かく調整するために利用できます。従来の DRAM アーキテクチャでは、エンハンスド FlexPhase 回路を用いて受信信号をコントローラにてデスキューさせて、信号の到着時間のずれを補正できます。さらに、エンハンスド FlexPhase 回路を用いて、コマンド/アドレスまたはクロック信号と同時にデータが DRAM デバイスに届くように、データに「プレスキュー」データとなるタイミングオフセットを意図的に挿入することも可能です。エンハンスド FlexPhase 回路は、ポイントツーポイントのコマンドおよびアドレス信号に同じように適用できます。エンハンスド FlexPhase は、各ピンまたはピングループにて、送受信時の位相オフセットを調整することで、一般的なメモリシステムに見られるタイミングエラーを最小限に抑えます。
エンハンスド FlexPhase を FlexLink™C/A と併用することで、コマンドおよびアドレスのポイントツーポイント差動信号を、データに対してフルスピードで動作させることができます。エンハンスド FlexPhase は、コントローラから送信されるコマンド/アドレス信号をプレスキューし、DRAM デバイスに遅延なく届くようにします。タイミングエラーを補正するために、コマンド/アドレス信号のトレース長を整合させる必要性が排除されました。コマンド/アドレス信号上の位相設定を最適化することは非常に困難であり、DRAM およびコントローラが完全に初期化されていないシステム起動中は特に難しくなります。エンハンスド FlexPhase では、コマンド/アドレス信号の通信を確立し、最適な位相値の検出を迅速化するキャリブレーションアルゴリズムを採用しています。実動作においては、DRAM の動作状態を妨げることなく、コマンド/アドレス信号のタイミングを定期的に微調整することも可能です。
FlexPhase と同様に、エンハンスド FlexPhase は、埋め込みクロックを用いてタイミングのデスキューを行う従来のシリアルリンク技術とはかけ離れています。このデスキュー方式では、クロック復元に十分な遷移密度を確保するために、8 ビット/10 ビットのエンコーディングを用います。このエンコーディング方法により、より多くのチップ面積が必要となり、消費電力の増大、遅延の増加、そしてバンド幅を 20 パーセントも余分に浪費することになります。
エンハンスド FlexPhase には、高性能メモリシステムにおいて、積極的なタイミングの分解能を実現するタイミングの特性化およびセルフテスト機能が搭載されています。エンハンスド FlexPhase は、6.4Gbps データレートで動作し、1.25ps のタイミング分解能を実現するラムバス社の先駆的な XDR 2 メモリシステムに採用されています。このようなタイミング分解能の水準を達成するには、プログラムによる調整可能な線形範囲を持つ革新的なエッジ搭載回路が必要となります。エンハンスド FlexPhase は、タイミング調整の連続した範囲を提供します。高精度な回路により、FlexPhase タイミング値がクロックサイクルに合わせて調整され、レベライゼーションロジックにより、複数のクロックサイクルにわたる調整が提供されます。
エンハンスド FlexPhase™ の動作
XDR 2 システムにおける読み取りアクセス時に、エンハンスド FlexPhase テクノロジーが組み込まれたメモリコントローラは、送信された制御信号と各メモリデバイスから受信したデータの「受信」位相差を検出します。この各メモリデバイスに対する位相差は、異なるタイミングでメモリコントローラに届くデータ信号をデスキューする際に利用されます。これにより、各メモリデバイスからアクセスされるデータの正しい再構成を実現できます。
書き込み動作時には、各メモリデバイスに対して「送信」位相差が検出され、メモリコントローラ内に保管されます。この送信位相差は、送信されたコマンド/アドレス信号と各メモリデバイスに送信されたデータとの間の遅延を修正(プレスキュー)するために使用されます。
読み取りおよび書き込み時に、FlexLink C/A と共にエンハンスド FlexPhase を使用することで、コントローラから送信されるコマンド/アドレス信号をプレスキューし、メモリデバイスに遅延なく信号が届くようにできます。 データ回路については、信号パスのコントローラ側にエンハンスド FlexPhase C/A 回路が実装されるため、メモリデバイスのコストおよび複雑さを軽減させることができます。
エンハンスド FlexPhase 回路と共にデータ解析ソフトウェアを用いることで、ビットエラーレート(BER)を測定することも可能です。 高精度回路に革新的なキャリブレーションアルゴリズムを組み合わせることにより、さまざまな位相オフセットにおいて正常なデータ転送を測定します。また、エンハンスド FlexPhase 回路は、パターン依存の符号間干渉(ISI)、デューティサイクル歪み、周期的ジッター、ランダムジッターを含む、決定性のジッターソースをキャプチャする分解能にて、コントローラが統計的に BER を算出するために必要なデータを、定期的に収集できるようにします。
利点
デバイスにおける利点
6.4Gbps を超えるデータレートにおいては、FlexPhase はタイミングウィンドウやメモリの性能を劣化させる製造上のばらつきの問題を解消します。エンハンスド FlexPhase テクノロジーは、クロックおよびデータ復元(CDR)方式を利用するシステムにおいて生じる電力、面積、そして遅延のデメリットを受けることなく、メモリインターフェイスが高速データレートで動作できるようにします。また、エンハンスド FlexPhase は、高速チップインターフェイスのマージン検証に、デジタル位相オフセットを用いることで、テスト容易性を向上させます。
システムにおける利点
エンハンスド FlexPhase テクノロジーは、トレース長やインピーダンスのばらつきによって生じる信号の位相オフセットを予測かつ調整することで、PCB トレース長の整合要件を緩和します。エンハンスド FlexPhase のタイミング調整は、より簡素で小型なコスト効率の高いメモリレイアウトを実現します。エンハンスド FlexPhase のタイミング調整は、システム内において主要なデータおよびコマンド/アドレス信号に対する検証および特性化を行い、高速リンクの性能検証を可能にします。エンハンスド FlexPhase により、設計者はメモリチャネルの BER を統計的に明らかにすることができます。
