オンダイターミネーション(ODT)のキャリブレーション
概要
デジタルシステムの性能要件が高まるにつれ、より高速な信号速度で信頼性の高い動作を実現するために、シグナルインテグリティに対する要件も厳しくなっています。
シグナルインテグリティを管理する上で、信号線の終端は有効な素子と言えます。信号線の終端はメモリデバイスの外部または内部で使用することができます。オンダイターミネーション(ODT)とも呼ばれる終端抵抗を DRAM デバイス内に組み込むことで、オフダイターミネーションによって生じる電気的な不連続性を軽減し、信号環境を向上させます。
製造工程におけるばらつきや電圧および温度の変動により、ODT 素子の 抵抗特性にもばらつきが生じます。そのため、チップ上で終端素子のキャリブレーションを行う必要があります。
背景
従来の DRAM メモリモジュールアーキテクチャでは、下記の図で示されるように、一般的にマザーボードに信号線の終端抵抗が使用されています。マザーボード上の終端抵抗は信号線の反射を一部吸収しますが、モジュール上の DRAM に接続するスタブの信号線によって生じる反射を防ぐことはできません。下記の図で示すように、メモリコントローラから DRAM に伝搬される信号は、モジュール上の DRAM に接続するスタブ部において、インピーダンスによる途切れが生じます。スタブを介して DRAM に伝搬される信号は反射して信号線に戻るため、信号に不要なノイズが発生します。このノイズと結果的に生じる信号の劣化がオフダイターミネーションで対処されないと、高速データレートやさらに長いスタブ長において、問題がより顕著になります。また、複数の DRAM モジュールが使用される大容量のマルチドロップシステムでは、さらに反射が生じ、結果的に反射ノイズ、そしてさらなる信号の劣化を招きます。


終端抵抗をマザーボード上ではなく、直接ダイ上に配置させることで、信号の反射を減らし、よりクリアな信号、そしてより高速なデータレートを可能にします。 下記の図は、オンダイターミネーションの実装を説明しています。


ラムバス社のソリューション
ODT キャリブレーションは、信号反射の減少を最適化するために、終端抵抗を調整する技術です。ODT キャリブレーションは、プロセスや動作環境の変動を補正する抵抗値を最適化します。
調整された ODT 値は、追加された抵抗負荷による信号振幅の減衰を最小限に抑えながら、不要な信号反射を大幅に減らすことができます。このため、よりクリアなデータ信号を実現し、データレートの高速化を可能にします。
以下の回路図は、ODT キャリブレーションの実現方法の一例です。この回路は、外部の高精度抵抗器と比例した ODT インピーダンスを実現します。これと同じ外部抵抗器を、出力ドライバのキャリブレーションに使用することもできます。
下図で「ODT コントロール(0:8)」と記載される ODT キャリブレーションコントローラは、ODT 抵抗回路網における電圧降下と Vext で表される外部抵抗における電圧降下を比較します。コントローラは、粗調整および微調整により抵抗回路網のキャリブレーションを行い、外部抵抗と近似するインピーダンス値を実現します。

利点
ODT キャリブレーションは、以下の分野にメリットをもたらします。
デバイスにおける利点
信号性能の向上により、より高速なデータレートを可能にし、設計者はより優れた DRAM デバイスおよびモジュール性能を実現できます。
サブシステムにおける利点
DRAM デバイス上に終端部品が配置されるため、これらの部品は PCB から取り除かれます。マザーボード上の部品および信号線の数を減らすことで、マザーボードの製造コストや複雑さを低減させながらも、高信頼性を得ることができます。
システムにおける利点
ODT キャリブレーションを用いることでシグナルインテグリティを向上させ、高速データレートおよび優れたモジュール性能を実現します。必要な時だけ抵抗器を有効にすることで、携帯デバイスの消費電力を低減し、バッテリー寿命を延ばすことが可能になります。これにより、終端抵抗によって引き込まれる静電流量も減らすことができます。
