出力ドライバのキャリブレーション
背景
DRAM とメモリコントローラ間でデータを高速転送するには、要求される電気信号レベルを実現できるように入出力ドライバの設計を注意深く行う必要があります。プロセス、電圧、および温度の変化によって、出力ドライバの回路の電気特性が変化する可能性があり、その結果、望ましい信号レベルから逸脱することがあります。さらに、トレースインピーダンス、基準電圧(Vref)、および終端電圧(Vterm)などのほかのシステム要素の変動によっても、信号レベルに影響を与える可能性があります。
これらの問題に対処するため、ラムバス社は他社に先駆けてメモリシステム内での出力ドライバのキャリブレーションを行い、通信速度を向上させ、広範囲の動作条件でより高い信頼性を実現しました。
以下の図解では、プロセス、電圧および温度の変動が、どのようにデータアイのサイズを縮小するかを示しています。データアイは、タイミングや電圧マージンなどの信号環境の品質特性を明らかにします。幅が広く(適正なタイミングマージン)、高さがある(適正な電圧マージン)データアイは、力強い信号を意味します。

上記の図解の Voh と Vol で示すように、出力ドライバは高電圧および低電圧レベル間で信号を出力するように設計されています。プロセス、電圧、温度およびその他の要因の変化により、出力ドライバは望ましい信号電圧レベルをオーバーシュートまたはアンダーシュートする可能性が生じ、マージンの縮小、そしてシグナルインテグリティの劣化を招く恐れがあります。タイミングマージンの縮小により、データが有効である期間(データアイの幅)が小さくなるため、最大信号速度が制限されることになります。縮小された電圧マージンの場合、正確なデータ転送を実現するために、より大きい入出力の電圧振幅が必要となり、それによって入出力電力が増加し、クロストークの影響を受けやすくなります。信号速度を増加しながら入出力電力を削減するには、出力ドライバのオーバーシュートおよびアンダーシュートを抑える必要があります。
ラムバス社のソリューション
出力ドライバのキャリブレーションは、プロセス、電圧および温度の変化を補正できるように出力ドライブ強度を調整することで、最適な信号レベルの確立および維持を実現します。 正常な動作時に出力ドライバのキャリブレーションを行うことで、システム使用時に電圧や温度が変動しても、ドライブ強度を調整することが可能になります。
出力ドライバのキャリブレーションは、出力ドライバ回路に提供されるフィードバックを用いて、出力ドライバ回路の出力インピーダンスを調整し、最適な信号性能を達成するために回路のドライブ強度を制御します。ドライバの出力インピーダンスは、デバイスの外部抵抗 RZQ と比較されます。その後、出力インピーダンスは、高精度抵抗と同等または比例するように較正されます。

上記の回路は、出力ドライバのキャリブレーション回路がどのように構成されるか表しています。レジスタレイヤの最上部における電圧降下は、抵抗器と直列接続されたトランジスタの状態および RZQ 抵抗値に依存します。トランジスタアレイの各トランジスタの状態は、ドライブ強度レジスタによって制御され、Vterm = Vref となるように設定されます。基準電圧の Vref は、望ましい出力信号レベルを表しています。 Vterm = Vref の条件が達成されると、ネットワークディバイダ上部のインピーダンスは、ドライバ用に最適化されます。トランジスタアレイの設定に使用される値は、レジスタ内に保管され、必要に応じて更新することができます。

上記の図は、出力ドライバのキャリブレーションが伝送線路沿いのオーバーシュートおよびアンダーシュートの規模にどのような影響があるかを説明しています。オーバーシュート量とアンダーシュート量が減少すると、電圧およびタイミングマージンが増加します。
外部抵抗 RZQ と出力ドライバのキャリブレーション回路の大半をオンダイターミネーションの ODT キャリブレーションに使用することができます。
メリット
出力ドライバのキャリブレーションは、以下のメリットをもたらします。
デバイス:出力ドライバのキャリブレーションは、DRAM 出力ドライバが自動的にプロセスの変動を補正できるようにさせて、DRAM の歩留まりの向上を実現し、これらデバイスがテスト仕様に容易に適合できるようにします。
サブシステム:基板設計者は、出力ドライバのキャリブレーションを行って、製造および組立処理で発生するトレースインピーダンスおよび終端電圧の変動を補正します。さらに、一部のコンポーネントの製造許容範囲は、調整可能な出力ドライバの強度によって補正できるため、コンポーネントの仕様が緩和されます。また、出力ドライバのキャリブレーションは、信号を強化することで高速な通信速度を実現します。
システム:システムインテグレータは、さまざまな環境で動作し、異なるトレースインピーダンスを使用する DRAM を、出力ドライバのキャリブレーションにより、複数ある DRAM 設計から 1 つだけ選定し、使用することができます。また、出力ドライバのキャリブレーションによって、電圧およびタイミングのマージンが増加し、幅広い動作条件において高いシステムの信頼性を実現します。さらに、調整可能なドライブ強度は温度変化を補正し、システムインテグレータはより効率的にシステム電力や保温コストを管理し、システム全体のコスト削減が可能になります。
